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2025/06/24 17:56 |
三井記念美術館 特別展「東山御物の美‐足利将軍家の至宝‐」
三井記念美術館で展示している特別展
「東山御物の美 ‐足利将軍家の至宝‐ 」を見てきました。
  
三井美術館に行ったのは初めてでしたが、まずその内装の重厚さに圧倒されました。
なんだか欧州の歴史ある洋館の中を歩いている気分になりました。
実はこの美術館、重要文化財に指定されている三井本館の中にあり、
竣工当時の内装を活かしているそうです。

入口が近代的な建物である日本橋三井タワーの中にあったので、
当然美術館もタワー内にあるとばかり思っていました。

「東山御物(ひがしやまぎょもつ/ひがしやまごもつ)」とは、
足利将軍家が所蔵した美術工芸品の総称だそうです。
東山というからには8代義政以降のものかと思いきや、
3代義満、6代義教が収集したものが中核となっているそうです。
そのコレクションの多くは中国との交易によってもたらされた「唐物」で、
今回の展示物も南宋時代のものが多かったです。

様々な展示があって、中でも面白いと思ったのがこれ。

重要文化財「青磁輪花茶碗 銘馬蝗絆」
南宋時代・13世紀 東京国立博物館 
Image: TNM Image Archives 

綺麗な青磁の茶碗なんですが、もとは平重盛が中国の育王山に黄金を寄進し、
その返礼に贈られたものだそうです。
足利義政の時代に、茶碗に割れがあったから明国に送って替えの茶碗を求めたら、
もうこのようなものは作れないと、割れ目に鎹(かすがい)を打って送り返されたそうです。
中国では鎹(かすがい)を馬蝗絆というそうで、銘はそこからのようです。

何が面白いって、そのエピソード。
重盛から義政まで伝わっているのも凄いし、割れたから直してと明に送るのも面白いし、
それをもう直せないよ、と鎹を打って律儀に送り返す明も面白い。
日本と中国を行き来して、時の権力者の手から手へと渡って、
今は国立博物館に所蔵されているこの茶碗の旅路を思うと、なんだか楽しい気分になりました。

他にも君台観左右帳記(くんだいかんそうちょうき)という足利将軍家が収集した唐絵・唐物についての鑑識やその飾り法が伝えられた伝書も展示してありました。
この伝書の存在を今回初めて知ったのですが、書院の飾りの順番や、棚に何を飾るのかが決まっていたとは知らなかったです。

その君台観左右帳記で「土之物」とされている陶器の筆頭は唐物天目だそうで、
曜変は「第一の重宝」とあり、油滴は「第二の重宝」とされているそうです。
曜変天目はTVで取り上げられていてなんとなくすごい茶碗だ!という印象があったのですが、その下に油滴天目と称される焼き物があると初めて知りました。
黒い椀に銀色の鱗のような斑点がキラキラしていてとても綺麗でした。
このキラキラしている斑点が水に浮かぶ油のようにみえることから油滴と呼ばれているそうです。

他にも様々な絵画や調度が展示してあって非常に見ごたえがありました。
正直直義ファンとしては、「まあ、足利家だし・・・行ってみとこうかな~」
くらいの軽い気持ちで見に行きました。
しかし、最後の最後で素晴らしい出会いが!

重要文化財「羅漢図」 蔡山筆
元時代・14世紀 東京国立博物館 
Image: TNM Image Archives 

画面右下に「奉三宝弟子左兵衛督源直義捨入」と寄進銘があります。
直義が貞和2年(1346)に高野山金剛三昧院に寄進したものといわれているそうです。

今回の展示は直義はさっぱり関係ないと思っていたので、
直義の名前を見つけたときとても嬉しかったです。
この絵を直義も見たのかと思うと感慨深かったです。


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2014/11/16 20:21 | Comments(0) | 博物館、史跡

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